田中 肇研究室 ソフトマターの物理 東京大学 工学系研究科 物理工学専攻 東京大学 生産技術研究所 基礎系部門
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高分子・液晶・コロイド・膜・タンパク質液体・ガラス・ゲル光とソフトマター
液体・液体転移ダイナミクス液体・液体転移の臨界挙動空間拘束下での液体・液体転移水と水型液体の熱力学・動的異常液体・液体転移の理論ガラス転移の理論フラストレーションを導入したMDシミュレーション多分散コロイド系のガラス転移現象駆動された粉体系のジャミングラポナイトのジャミング転移ガラス転移温度以下での結晶化キネティクスキャビテーション

キャビテーション

キャビテーション 流体力学では,多くの状況下で,流れに伴う密度変化を無視できる.これは,すなわち非圧縮性を仮定できるということである.よく知られた例として,流れが圧力変化を伴わない単純剪断流がある.この場合には,粘性応力による体積変形がなく慣性効果も無視でき,したがって,単純剪断流については,密度揺らぎの増幅を伴う不安定化 (キャビテーション,シアバンドなど) は起きないと考えられてきた.このことは,そもそも単純剪断 (横モード) が,その字義通り体積変化,つまり密度揺らぎ (縦モード) を引き起こさない変形であることからも理解できる.本研究では,このような,これまでの知見に反し,ずり粘性の密度依存性に起因する流れと密度揺らぎの結合を明確に考慮に入れることによって,単純剪断流であっても,非圧縮状態が破れうることを示した.ずり粘性の圧力微分の逆数によって与えられる臨界剪断率を超えると,液体の一様状態は力学的に不安定になり,遂にはキャビテーション,シアバンドなどに至ることが予測される.この予測は,流体力学の基本方程式である Navier-Stokes 方程式から自然に導かれる,極めて単純かつ一般的なものでありながら,これまでの流体力学研究で歴史的に見落とされていた.本研究の結果から,非常に粘性の高い液体では,この剪断誘起不安定性が実験的に容易に実現しうる程度の剪断率でも起こると予測される.実際,高粘性の潤滑剤において観察された異常な剪断誘起不安定性を,今回の結果により説明できた.この機構は,物質の変形下での不安定化の普遍的な機構になると考え,現在その発展的研究を展開している (図は,モデル流体 (ファンデルワールス流体) を用いた計算機シミュレーション結果).

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