流体系の相分離
相分離とは相転移現象の一つで,混合系の温度・圧力などを変えることで相溶性が変化し,一相状態から二相状態に変化することをいう.相分離現象は,水と油のような液体混合系だけではなく合金などの固体混合系でも起こるが,その機構が後者は拡散によってのみ進行するのに対し,前者は流動性も大きく影響しそれぞれ,model B,model H と呼ばれている.一般的に,分離する比率が 50:50 に近い場合には双連結な構造を示し,そうでない場合には少数相がドロップレット構造を形成し,それらは自己相似的に成長する.我々は,流体混合系の相分離ダイナミクスに対する電場などの外場の影響,各成分の粘弾性の影響などを実験・数値シミュレーションを用いて研究を行ってきた.図は,二次元数値シミュレーションによって得られた温度クエンチが十分に深い場合の相分離構造である.この場合,相分離初期の界面が形成する過程においても界面張力による流れ場の影響を受けドメインの成長が著しく速くなる.その結果,濃度場の拡散が追従できず各相内が熱力学的に準安定になり,多重の相分離が引き起こされる.我々は,この振舞いを界面クエンチ効果と名付けた.
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