ブロックコポリマーのミクロ相分離
ソフトマターの特徴の1つに,その大きな内部自由度を利用した高度な秩序形成能力と階層性がある.例えば,液晶テレビは液晶の配向秩序を利用している.また,我々生命体は,タンパク質その他が複雑に秩序化・階層化して出来たシステムである.このようなソフトマターの中に,両親媒性ソフトマターと呼ばれる,性質の異なる分子を化学結合させた一連の物質群がある.両親媒性ソフトマターは,形態エントロピーと成分間の相互作用エネルギーの競合に起因した,様々な秩序メソ構造を形成することが知られており,基礎・応用の両方で大きな興味を持たれている.異種高分子を共有結合させたブロックコポリマーは,この両親媒性ソフトマターの代表例である.ブロックコポリマーは,相分離によって平板構造 (ラメラ),円筒構造 (シリンダ),球構造 (スフィア) 等の様々な周期的秩序メソ構造を形成し,その相分離過程は,周期構造の長さスケールが高分子の鎖長以下 (典型的には,10-100 [nm] 程度) であることから,ミクロ相分離と呼ばれている.我々は,このブロックコポリマーのミクロ相分離に着目し,そのダイナミクスに流体力学的相互作用がどのような影響を与えるかを調べている.
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